〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第26篇)

与謝野晶子

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うすく紅さす百合の花、 ひと花づつを、朝ごとに、 咲けば、どうやら、わが頼む よい幸福はまのあたり。 うすく紅さす百合の花、 ひと花づつを、朝ごとに、 散らせば、あたら、わが夢も、 しばし香りて消えて行く。 うすく紅さす百合の花、 よし、幸福でないとても、 また、かりそめの夢とても、 わたしは花をじつと嗅ぐ。

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