〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第57篇)

与謝野晶子

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青い淵、 エメラルドを湛へて 底の知れない淵、 怖ろしい淵、死の淵。 所へ、「みづすまし」が 一匹ふいと現れて、 細長い 四本の脚で身を支へ、 円く、円く、軽軽と、 踊つたり、舞つたり。 淵は今「みづすまし」の 美くしい命の 「渦巻つなぎ」に満ち、 この芸術家的な虫の 支配のもとに、 見るは唯だメロデイの淵、 恍惚の淵、青い淵。

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