〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第58篇)

与謝野晶子

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

からりと晴れた 夏の日に、 季節ちがひの くわりんの果の香りが 一すぢ、 わたしの心のなかに、 その果肉の甘さを以て ただよつてゐる。 わたしの心は 踊り疲れた女のやうに 半眠つてゐる。 さうして、半嗅いでゐる、 そのくわりんの果の香りを。 こんな時が 十分ほど続いて、 ふと現実に還つたあとで、 また、姑らく、 わたしの重い頭が 猶そのくわりんの果の香りを 目の前にあるやうに探してゐる。 耳もとには 貪欲な蚊が一つ二つ唸つてゐる。 平凡な 暑くるしい夕ぐれ。 書きかけた原稿が 机にわたしを待つてゐる。 くわりんの果の香りは わたしの感情と一緒に もうまた帰りさうにない。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。

まだ解釈・感想はありません。

〔無題〕の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

〔無題〕に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる