市に住む木魂

与謝野晶子

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木魂は声の霊、 如何に微かなる声をも 早く感じ、早く知る。 常に時に先だつ彼女は また常に若し。 近き世の木魂は 市の中、大路の 並木の蔭に佇み、 常に耳を澄まして聞く。 新しき生活の 諧音の 如何に生じ、 如何に移るべきかを。 木魂は稀にも 肉身を示さず、 人の狎れて 驚かざらんことを怖る。 唯だ折折に 叫び且つ笑ふのみ。

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