衣通姫

与謝野晶子

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    (今井鑷子女の新舞踊のために作る。) 今宵のこころ躍るかな、 君来たまふや、来まさぬや、 隔てて住めば藤原も、 近江国にことならず。 あやしく躍る心かな、 何がつらきか、此世には、 思ひあへども逢はぬこと、 逢はれぬことに如くぞ無き。 心うれしく躍るなり、 身に余りたる我が恋は 君知らしめせ、忍びかね、 衣を通して光るとも。 こころぞ躍る、この夕、 君来たまはんしるしなり、 蜘蛛は軒より一すぢの、 長き糸こそ垂れにけれ。

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