手の上の氷

与謝野晶子

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日の堪へ難く暑きまゝ しばらく筆をさし置きて、 我れは氷のかたまりを 載せて遊びぬ、手のひらに。 貧しき家の我子等は 未だ見ざりしその母の この戯れを怪しみて、 我が前にしも集まりぬ。 可愛ゆき子等よ、こは母が 珍しきまゝする事ぞ、 唯だ気紛れにする事ぞ、 いはれも無くてする事ぞ。 かゝる果敢なきすさびすら 母が昔の家にては 許されずして育ちにき、 唯だ頑なに護られて。 可愛ゆき子等よ、摸ねたくば いざ氷をば手に載せよ。 さて年長けて後思へ、 母は自由を愛でにきと。

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