強き友

与謝野晶子

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海を渡らん我が友へ、 別れを述べに行きし時、 客室の椅子をいと※き、 涙に我れの濡らしてき。 老いたる寡婦の悲みが、 別離の情に誘はれし、 不覚の態と恥ぢたりき、 友の客室の我が涙。 死ぬは期したることなれば、 重い病になりしとて、 強き心の我が友を、 殊更思ふこともなし。 世のもてなしの礼なさが、 著はになりて見えし時、 病に障りあらすなと、 惑へる子等を我れは見ぬ。 一年まへの真夏の日、 旅立つ友に流したる、 涙のこころやうやくに、 悟るを得たり、わが友よ。

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