梅蘭芳に

与謝野晶子

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うれしや、うれしや、梅蘭芳 今夜、世界は (ほんに、まあ、華美な唐画の世界、) 真赤な、真赤な 石竹の色をして匂ひます。 おお、あなた故に、梅蘭芳、 あなたの美くしい楊貴妃ゆゑに、梅蘭芳、 愛に焦れた女ごころが この不思議な芳しい酒となり、 世界を浸して流れます。 梅蘭芳、 あなたも酔つてゐる、 あなたの楊貴妃も酔つてゐる、 世界も酔つてゐる、 わたしも酔つてゐる、 むしやうに高いソプラノの 支那の鼓弓も酔つてゐる。 うれしや、うれしや、梅蘭芳。

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