我家
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崖の上にも街、
崖の下にも街、
尺蠖虫の如く
その間を這ふ細き小路は
坑道よりも薄暗し。
我家は小路に沿ひて、
更に一段低き窪にあり。
門を覗きて斜めに
人も、我も
横穴の悒欝を思ふ。
門と玄関との間、
両側に立つ痩せし樫の幹は
土中より出でし骨の如くに黒み、
その灰色する疎らなる枝は
鉛の静脈を空に張れり。
我家は佝僂病者なり、
その内部は暗く屈みて
常に太陽を見ず、
陰湿の空気壁に沁みて
菊の香の如く苦し。
さもあらばあれ、我は愛す、
我家の傷ましく淋しきを。
精舎と行者との如く、
同じ忍辱の中に
人と家とは黙し合ふ。
さて、我家にも、
二階の障子に
朝の日の射す片時あり、
見給へこの稀なる
我家の桃色の笑顔を。
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