永き別れ
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発車前三分……
我は更に戦きて
汽車の窓に歩み寄る。
発車前三分……
中なる人も
湿みたる目に見下ろし、
痙攣る如く手を伸べぬ。
いかで、我等に残るこの束の間、
猶吸はばや、君が心を、
君が※を、君が香を。
発車前三分
はた、わが命のため、
捉へて我目に留めばや、
君が顔を、君が姿を。
狂ほしくなれる我は
君が手の上に
はげしき接吻を押して、
思はず、きと噛みぬ。
おゝ、今、基督の其れの如く、
わが脈管を伝ひて拡がるは
君が聖なる血の一滴……
汽笛は空気を裂く。
時なり、汽車は動き、
二度と来らぬ旅人の
君は遠く去り行く……
さはれ匂はしき記憶よ、
証せかし、常に猶、
我が衷に君の在るを。
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