勞働者詩人に
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君の詩はまだ熟してゐない
りんとした眼を持つた若者だらう
十二時間勞働の後にペンを握る
ごつい手で書いた「職塲の歌」 はすてきだつた
今に色づいてたまらぬ匂ひをぷんぷんふり撒くだらう
何ものをもうち超えて
偉大な勞働者詩人になるだらう
新しい詩の世紀を翹望する!
だから僕はかなしいんだ
君の言葉に不消化なものが交るとき
君の眼が一方を見て他方を忘れてゐるとき
プルジヨア詩人がたわごとを云つたところで
一顧にも價ひしないが
君達の抱いた少しの缺陷も
どんなにか僕の胸を痛めるだらう
僕は君の忠告を受取つた
「力强い勞動者のリズム『アルメニアの兄弟へ』から
どうして『カバン』へ敗退したんだ?」と
僕は眞實淋しかつた
しかし敗退を認めて淋しいのではない
一九三二年の、 あの詩人達
主題の積極性をまつしぐらに追求してゐた詩人たち
そこに憧憬れる感情!
まこと幾人かの正しい詩人がゐた
その中の何人かはまだ·· つながれてゐる
君はそれらと一〓にまやかしものまでも鵜呑みにしてゐるんぢやないか
その日の輝やける詩人の一人は
秀才の某大學生であつた
恰悧な頭腦はすばやく指導理論を捉へた
まくしたてる議論の煙に捲かれて
たぢたぢしたものさ
彼は巧妙に積極的主題をとりあげた
理論から批難すべき何ものもなかつた
彼は忽ち組織の重要位置を占めていつた
ただ人々の胸にはうなづけない物足りなさが殘された
用捨なく時は流れる!
彼は、 卒業した
就職した
そしてプロ文學から立去つてしまつた
カフェーからカフェーヘ泳ぎ廻つてるといふ噂だけがひろがつた
一つの謎がほぐれていつたんだ
僕は『アルメニアの兄弟へ』の乏しい體臭に顏をしかめた
馬車馬式の活動の中から生れたリズムよ
僕の足は地につきかねた
僕の職業は詩からとり殘されてゐた
景氣のよさらな仇花の數々に
今更さびしかつた
輪は小さくとも、 全生活から
つやのある匂ひの高い花を開かせたい
まぎれもない肉體の詩を······
僕は『ある部屋で』 を書いた 『死生の間』 を書いた『カバン』を書いた
詩は僕の忘れられた面からも芽吹きだしてくる!
南海の勞働者詩人よ
囚はれの詩人槇村浩を繼ぐ若い詩人よ
インテリゲンチヤ詩人のヂクザクな
その步みの眞實の進展と敗退を
月の智慧と太陽の愛で-と
僕は君の若々しい肩を叩きたい
未來の藝術を高く荷負ふべきその肩を······
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