ボヘミアンの歌(七月八日)
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嵐は過ぎた
洪水は過ぎた
唯だ流れてゆくのは河の泥水ばかりだ
土堤の柳の樹は
すんだ滴をたらしてゐる
砂は踏むたびにぐさりぐさりとつぶやく
土堤のくび根までだぶりだぶりと浸して流れる大河
だぶりだぶりと兩側の岸を浸して
流れる大河
おおこの空に高く飛ぶ燕の群れよ
何處をさして行くとも知れない燕の群れよ
僕は君等を見る時親しい憧れを感ずる
そのぺちやくちやしやべり交して行く聲を聽くと
つい可笑しくなつて笑ひ出してしまふ
自分はボヘミアンだ
けれども人生の底から根ざしてゐる愛がある
はてしない際涯は自分のラヴアだ
昨日のあの嵐の名殘りで白く崩れる
河口の波は
人氣もないそのあたりの葦の茂みは
愛するものの睡つてゐるたのしい處だ
自分はそこに棲家を見出す
おお河尻よ
限りもなくつづいてゐる砂原であれ
おおそこから見える海よ
限りもなく廣いをやみない動搖であれ
自分はそのまだ見ない處に
小踊りしながら進む
嵐のあとの何人も踏まない土堤の上を
はにかむやうなあたりの景色に溺れながら
だぶりだぶりと鳴る響きのよい
水音を聽きながら
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