一生(六月三十日)

福士幸次郎

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

一といふ盲人に、二といふ女盲人、悲しい生命は其の間からうまれた 四番目の扉をひらいて 五番目の椅子へ座つた 六番目の燈明に火をともし 七番目の女の死骸を鞭つた そして八番目の打下しにがつかりと力がぬけて 神へ悲しい哀訴の手をあげた 身體は浮上るやうに淨くかろくなり 眞黒な錦襴の帷は九番目の祕密を垂らした 夢に照るらしい月夜はその中に薄青くけむつてゐる 星は覺束なげに天にひかつてゐる 十番目の吐息をすると 古めかしい記憶がしんとして行つた 十一番目の火をともすと 月光はおぼろげな火陰を搖めかした 十二番目の大理石像の背後には 私にいきうつしの老人が俯向けに倒れてゐる 眞白にしをれた薔薇は うろ覺えの記憶をにほはしてゆく 十三番目の空中には 一つの棺が星雲のやうに浮いてゐる 悲しい一生の悔恨や悲嘆や追憶は 其處に匿れて齒がみしてゐる 捉へがたい鎖になげいて 私は十四番目の哀訴の手をあげた

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。

まだ解釈・感想はありません。

一生の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

一生に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる