扇を持つみなしごの娘(七月)

福士幸次郎

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扇の中にみなしごは 白い虚な眼を閉ぢる 病氣上りの氣のやみに まぶしく照らす赤い夕日 風にふらふらうごく雛罌粟 心覺えの兩親が心の何處かにあるやうに 所々にきらきらと清水が涌く ああパウルのやうに嚴くて、ペテロのやうにやさしい院長さん 私が此方へ初めて來た日には あのお天日樣目掛けて飛んでゆく鳥みたいでした そのくせ夜になると魘れたり 泣き出したり 知らぬ他國の夢を見て 暗い廊下におびえて居たり……

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