娼女(十一月十八日)

福士幸次郎

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千夜萬夜の燈明の街に 咲いてものがなしい月のダリヤ 生な眼色は燐火を吸ふ青びかり 肌着の緋襦袢にぬくぬくと、うづめる頥の心細さ悲しさ ガスはかがやくとも 座敷の夢はとほく曇り 白粉にとかされた涙にぞ青白いガスマントルの疲れやう、廓暮しの疲れやう 赤い唇に寐息を吸ふ月のダリヤ 赤い唇に寐息を吸ふ月のダリヤ 人足くらい江戸町に 月のダリヤのメランコリイ  心 グレエゲルス 君のいふのが本當で僕のいふのが嘘なら、人生は生きてる價値がない レルリング なあに人生は至極らくになるさ、たつた一つあの難物の借金取りさへ追つ拂へたらね、始終僕等貧乏人をはたつて苦しめる理想の要求といふやつを グレエゲルス (前方を直視して)そのことでは僕はうれしい氣がする、自分の運命が何であるかと思ふと レルリング 失敬――その君の運命といふのは? グレエゲルス (去らんとして)テーブルの十三番目だ レルリング へん、くだらない ヘンリツク・イブセン『鴨』 明治四十五年――大正元年

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