春の芽生

萩原朔太郎

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私は私の腐蝕した肉體にさよならをした そしてあたらしくできあがつた胴體からは あたらしい手足の芽生が生えた それらはじつにちつぽけな あるかないかも知れないぐらゐの芽生の子供たちだ それがこんな麗らかの春の日になり からだ中でぴよぴよと鳴いてゐる かはいらしい手足の芽生たちが さよなら、さよなら、さよなら、と言つてゐる。 おおいとしげな私の新芽よ はちきれる細胞よ いま過去のいつさいのものに別れを告げ ずゐぶん愉快になり 太陽のきらきらする芝生の上で なまあたらしい人間の皮膚の上で てんでに春のぽるかを踊るときだ。

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