厭やらしい景物

萩原朔太郎

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雨のふる間 眺めは白ぼけて 建物 建物 びたびたにぬれ さみしい荒廢した田舍をみる そこに感情をくさらして かれらは馬のやうにくらしてゐた。 私は家の壁をめぐり 家の壁に生える苔をみた かれらの食物は非常にわるく 精神さへも梅雨じみて居る。 雨のながくふる間 私は退屈な田舍に居て 退屈な自然に漂泊してゐる 薄ちやけた幽靈のやうな影をみた。 私は貧乏を見たのです このびたびたする雨氣の中に ずつくり濡れたる 孤獨の 非常に厭やらしいものを見たのです。

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