戀ぐさ
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さにてはなきや昨日こそ
冬のあはれはこもりしか
古井のかげよ今日はまた
追憶深き草の花
追憶ふかき草なれば
菫やさしくにほふなり
やさしく匂ふ花なれば
そのこころさへ慧からむ
されば知れりや歡樂の
泉にかかる琴のねを
ここには誰ぞ彈きすてて
世はすががきのみだれのみ
さてしも難きよろこびや
かくも忘れし祕めごとや
いやまし人は嘆く日に
匂ひは深き花すみれ
常磐の緑葉をかさね
森の香いかに高くとも
汝がにほはしのくちづけに
われはかへじよ花すみれ
神のこころはほのかにて
人知る際にあらねども
いくよ忘れし思ひさへ
ただこの花に忍ばるる
げに世は夢よ歡樂の
泉はつきてかへらねど
古井のかげの戀草に
なほ新しきにほひあらずや
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