夜の風

木下夕爾

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誰かが麥笛をならしてゐる それは人が泣いてゐるやうだ 夜が風をつれてくる しなやかな皮膚をした 小さな風よ 僕の著物からは はやくナフタリンの匂ひが失はれる 僕は感じる 暗い夜のなかで 熟れた小麥がそよいでゐるのを ああ六月がそこに橫臥して ゆるい死の息づかひをしてゐるのを

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