赤足袋

北原白秋

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肩越しにうかゞふ子らに、 沙彌が眼はなべて光りぬ。―― 日の一時、水無月まなか、 大なる鐃鈸ひびき、 亡者めく人びとあまた 香爐焚き、棺衣めぐり、 群れつどひ、兩手あはせぬ。 長老は拂子しづしづ 誦經いま、咽び音まじり、 廣澄みぬ。――七歳の我は 興なさに、此時膝に 眼うつせば、紗の服がくれ、 だぶだぶの赤足袋。――をかし、 髯づらに涙ながれき。 『南無阿彌陀。』――沙彌が眼光り、 拂子ゆれ、風湧く刹那、 一齊に念佛起り、 老若も、男女も、子らも、 赤足袋も、咽ぶと見れば、 層高の銅拍子、――あなや、 われ堪へず、――笑ひくづれき。

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