赤き僧正
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邪宗の僧ぞ彷徨へる……瞳据ゑつつ、
黄昏の薬草園の外光に浮きいでながら、
赤々と毒のほめきの恐怖して、顫ひ戦く
陰影のそこはかとなきおぼろめき
まへに、うしろに……さはあれど、月の光の
水の面なる葦のわか芽に顫ふ時。
あるは、靄ふる遠方の窓の硝子に
ほの青きソロのピアノの咽ぶ時。
瞳据ゑつつ身動かず、長き僧服
爛壊する暗紅色のにほひしてただ暮れなやむ。
さて在るは、曩に吸ひたる
Hachisch の毒のめぐりを待てるにか、
あるは劇しき歓楽の後の魔睡や忍ぶらむ。
手に持つは黒き梟
爛々と眼は光る……
……そのすそに蟋蟀の啼く……
四十一年十二月
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