人食ふひと
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こはそもいづくの空なるや、
はた何時なりや、誰なるや、
人食ふ人ら背も矮く
ひそと声せず、身じろがず。
蹲みて嗅ぐはなにごとか、
はた、なになれば眼も狭く
地の一点を凝視むらむ。
銀鐘のごと日は光る。
青き波紋の刺青に
あくまで黒き頬は青く、
裸の腕に一枚の
皆朱の布をひきかつぐ。
悪しき心の真昼時
印度当麻の香の中に
笑まず狂はず、しんしんと
ひもじきごとし、泣くごとし。
血の悦楽にたましひの
ふかきうめきを忍ぶにか、
かつ現身を悲哀の
糧と食むにか、さげすむか。
淫慾の肌うつくしく
時に緑蛇ぞ走りゆく、
息蒸すばかり恐ろしき
酷暑の光、葉の湿り。
悪しき神々しろしめす
印度当麻の真昼時、
すべて事なし、声もなく、
はたや、そよとの風もなし。
大正二年四月
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