金縞の蜘蛛

北原白秋

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ゆく春のあるかなきかの絲に載り、 身を滑らする金縞の蜘蛛。 雨ふれば濡れそぼち、 日のてれば光りかがやく金縞の蜘蛛。 その青き金縞の蜘蛛。 怪しく美くしき眼は 晝の年増の秘密をば見て見ぬふりにうち顫へ、 うら耻かしき少年の夢を見透かし、 明日死ぬるわが妹の命をかひたと凝視むる。 ゆく春のあるかなきかの絲に載り、 身を滑らする金縞の蜘蛛。 人來れば肢を縮め、 蟲來れば捕りて血を吸ふ金縞の蜘蛛。 ただ一日青く光れる金縞の蜘蛛。

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