真昼(『海豹と雲』収録)

北原白秋

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神は誰ぞ、蒼蠅なすもの、 息づきぬ、野に妙にまどろみつつ。 何かまた、えならぬかをり 咲き満ちぬ、あざやけき黄と白とに。 言問はむ、ウインネツケよ、 月のごと大きなる、その在処を。 思へみな、遥かなる慈悲。 貧しきは幸なり、うらがなしき。 田にはいま、声あはすもの うち騰る蒼穹によくひびきて。 草生には出で没る帯の 美しき童らのゆりうごくを。 すべてよし、陽炎は行く、 鉄橋の朱を桁を靡かしつつ。 真昼なり、夏は閑かに 日に焼くるあはれのみにほひ満ちぬ。

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