乱れ織

北原白秋

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わが織るは、 火の無花果を綴りたる 花哆囉呢の猩猩緋。      とん、とん、はたり。 さればこそ 絶えず梭燃え、乱れうつ 火の無花果の百済琴。      とん、とん、はたり。 聞き恍れて、 何時か、我が入る、猩猩緋 花哆囉呢のまぼろしに。      とん、とん、はたり。 乱れ織、 落つる木の実のすががきに ふとこそうかべ、銀の楯。      とん、とん、はたり。 飜へす 貝多羅葉の馬じるし 花哆囉呢のまぼろしに。      とん、とん、はたり。 また光る 白き兜の八幡座、 火の無花果の百済琴。      とん、とん、はたり。 乱れ織、 つと空ゆくは槍の列。 花哆囉呢のまぼろしに。      とん、とん、はたり。 さては見つ、 火の無花果のすががきに 君が鎧の猩猩緋。      とん、とん、はたり。 われは、また 花哆囉呢のまぼろしに 白き領巾ふる。百済琴。      とん、とん、はたり。 そのときに、 馬は嘶く、しらしらと、 火の哆囉呢の無花果に。      とん、とん、はたり。 あはれ、いま 花哆囉呢のすががきに 再び擁く、君と我。      とん、とん、はたり。 天も見ず、 被ぐは滴る蜜の音、 君が鎧の猩猩緋。      とん、とん、はたり。 こは夢か、 刹那か、尽きぬ幻か、 花哆囉呢の梭の音。      とん、とん、はたり。

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