渚の薔薇

北原白秋

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紀の南、白良の渚、 荒き灘高く砕けて 天暗う轟くほとり、 ひとならび夕陽をうけて 面ほてり、むらがり咲ける 色紅き薔薇の族よ。 瞬く間、間近に寄せて 崩れうつ浪の穂を見よ。 今しさと滴るばかり 激瀾の飛沫に濡れて、 弥さらに匂ひ閃めく 火のごとき少女のむれよ。 寄せ返し、遠く消えゆく 塩漚暗き音を聴け。 ああ薔薇、汝にむかへば わかき日のほこりぞ躍る。 薔薇、薔微、あてなる薔薇。

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