濁江の空
本文の表示
腐れたる林檎の如き日のにほひ
円らに、さあれ、光なく甘げに沈む
晩春の濁重たき靄の内、
ふと、カキ色の軽気球くだるけはひす。
遠方の曇れる都市の屋根の色
たゆげに仰ぐ人はいま鈍くもきかむ、
濁江のねぶたき、あるは、やや赤き
にほひの空のいづこにか洩るる鉄の音。
なやましき、さは江の泥の沈澱より
あかるともなき灰紅の帆のふくらみに
伝へくる潜水夫が作業にか、
饐えたる吐息そこはかと水面に黄ばむ。
河岸になほ物見る子らはうづくまり、
はや倦ましげに人形をそが手に泣かす。
日暮どき、入日に濁る靄の内、
また、ふくらかに軽気球くだるけはひす。
四十一年八月
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
濁江の空の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
濁江の空に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。
まだ解釈・感想はありません。
ログインすると解釈・感想を書けます。