乳母の墓

北原白秋

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あかあかと夕日てらしぬ。 そのなかに乳母と童と をかしげに墓をながめぬ。 その墓はなほ新らしく、 畑中の南瓜の花に もの甘くしめりにほひき。 乳母はいふ、『こはわが墓』と、 『われ死なばここに彫りたる おのが名の下闇にこそ。』 三歳のち、乳母はみまかり、 そのごともここに埋もれぬ。 さなり、はや古びし墓に。 あかあかと夕日さす野に、 南瓜花をかしき見れば いまもはた涙ながるる。

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