酒の精
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『酒倉に入るなかれ、奧ふかく入るなかれ、弟よ、
そこには怖ろしき酒の精のひそめば。』
『兄上よ、そは小さき魔物ならめ、かの赤き三角帽の
西洋のお伽譚によく聞ける、おもしろき…………。』
『そは知らじ、然れどもかのわかき下婢にすら
母上は妄りにゆくを許したまはず。』
『そは訝かしきかな、兄上、倉の内には
力強き男らのあまたゐれば恐ろしき筈なし。』
『げにさなり、然れども弟よ、母上は
かのわかき下婢にすらされどなほゆるしたまはず。
酒倉に入るなかれ、奧ふかく入るなかれ、弟よ。』
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