そぞろありき

北原白秋

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

風寒き師走月、それの港を われひとり、夕暮のそぞろありきす。 薄闇のほのかなる光のなかに 老舗立つひと町は寡婦のごとく われゆゑに面変り、かくや病みけむ。 人あまた、はかなげにそともながめて 石のごと店店に青みすわりき。 たまたまに、灯さす格子はあれど 柩うつ槌の音ただにせはしく、 煉瓦つむ空地には、あはれ誰が子ぞ、 心中の数へぶし拙なげながら 音もうるむ連弾のかなしきしらべ、 いつになく旅人の足をとどめて、 灯は青く柳立つ闇にともりき。 港には浪の音も鈍にひびらぎ、 灰だめる氷雨雲空にみだれて すそあかる黄いろの遠に、海鳥 煙濃き檣の闇に一列 朱の色の大き旗鳴きもめぐりぬ。 船はまた鐘鳴らし、かくて失せにき。 そのゆふべ君のかげ消えしかなたに、 さてしもや、みえそめぬ海のかなたに けふも見よ、木星の青ききらめき。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

そぞろありきの談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

そぞろありきに寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる