そぞろありき
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風寒き師走月、それの港を
われひとり、夕暮のそぞろありきす。
薄闇のほのかなる光のなかに
老舗立つひと町は寡婦のごとく
われゆゑに面変り、かくや病みけむ。
人あまた、はかなげにそともながめて
石のごと店店に青みすわりき。
たまたまに、灯さす格子はあれど
柩うつ槌の音ただにせはしく、
煉瓦つむ空地には、あはれ誰が子ぞ、
心中の数へぶし拙なげながら
音もうるむ連弾のかなしきしらべ、
いつになく旅人の足をとどめて、
灯は青く柳立つ闇にともりき。
港には浪の音も鈍にひびらぎ、
灰だめる氷雨雲空にみだれて
すそあかる黄いろの遠に、海鳥
煙濃き檣の闇に一列
朱の色の大き旗鳴きもめぐりぬ。
船はまた鐘鳴らし、かくて失せにき。
そのゆふべ君のかげ消えしかなたに、
さてしもや、みえそめぬ海のかなたに
けふも見よ、木星の青ききらめき。
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