尋めゆくあゆみ
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いと高くいと深くいと静にいと蕭やげる
夜の森のかげ、暗く冷なる列のもとを、
われはあゆむ。
いと高くいと暗くいと密にいとほのかなる
細らなる赤楊の列、そのもとの底の底を
われはあゆむ。
いと高くいと深く沈みたる憂愁のもとを、
真素肌のましろなる、衣つけぬ常若の矜もて
われはあゆむ。
赤楊のとある梢ありとしも見へぬ空のけはひ、
あはれその枝に色紅き小鳥の如も星の見ゆる。
あはれひとつ
いと高くいと深くいと静にいと蕭やげる
夜の森のかげ、暗く冷なる列のもとを、
われはあゆむ。
さあれ今言いはぬ獣忍びやかに蹤きぞ来ぬる。
昨日より去年より生れしより、否、前世より
蹤きか来ぬる。
かかる夜のとある梢哀れその空に星の見えつ。
紅き星紅き星ほのかにもわれは知れり、
かかるゆめも。
いと高くいと深くいと冷にいと蕭やげる
夜の森のかげ、ふとし、あな、路は落つる。
あらぬ谷間。
哀れ哀れあらぬ谷にいと暗く霊や落つる。
真素肌の悲哀よ血の香する荊棘のなかを
いかにわけむ。
足音のす、言いはぬ獣忍びかにひき帰すらし。
哀れまたひとつ星、見もあへぬ闇のかなたに
はたや消ゆる。
忽にものの呻吟、やはらなる足に触れつつ
そこここの血の荊棘あなやその暗き底より
赤子啼きいづ。
四十一年六月
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