円燈

北原白秋

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薄暮の谿間の恐怖。 今宵またかなたに点る 紅の円き燈。 そを知るや、知らずや、なほも なやましきにほひの奥に うづくまり黙むひとむれ。 真白なるゆめの水牛、 しかはあれど、なべて盲ひし 獣らの重き起伏。 盲ひしは瞳のみかは、 ものにぶく、闇にくぐもる もろもろのこころごころも。 かくてあな幾夜か経にし。 言いはず、かうべもあげず、 さあれども物待つごとし。 深みゆく恐怖の沈黙。 そのなかに今宵も消ゆる 紅の円き燈。 四十一年六月

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