燕
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燕は翔る、水無月の
雲の旗手の濡髪に。――
暗き港はあかあかと
霽れぬ、滴る帆の雫。
燕は翔る、居留地の
柑子色なす窻玻璃
ななめに高く。――ほつほつと
霧に湿らふ火のにほひ。
燕は翔る、葉煙草と
ヸオロン薫ゆる和蘭の
酒楼のまへを。――笛あまた
暮れつつ呻ぶ海の色。
燕は翔る、花柘榴――
濡るる埠止場の火あかりに。
かくてこそ聴け、艶女等が
猥らにわかきさざめごと。
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