浴室

北原白秋

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

水落つ、たたと………浴室の真白き湯壺 大理石の苦悩に湯気ぞたちのぼる。 硝子の外の濁川、日にあかあかと 小蒸汽の船腹光るひとみぎり、太鼓ぞ鳴れる。 水落つ、たたと………‥灰色の亜鉛の屋根の 繋留所、わが窓近き陰鬱に 行徳ゆきの人はいま見つつ声なし、 川むかひ、黄褐色の雲のもと、太皷ぞ鳴れる。 水落つ、たたと…………両国の大吊橋は うち煤け、上手斜に日を浴びて、 色薄黄ばみ、はた重く、ちやるめらまじり 忙しげに夜に入る子らが身の運び、太皷ぞ鳴れる。 水落つ、たたと…………もの甘く、あるひは赤く、 うらわかきわれの素肌に沁みきたる 鉄のにほひと、腐れゆく石鹸のしぶき。 水面には荷足の暮れて呼ぶ声す、太皷ぞ鳴れる。 水落つ、たたと…………たたとあな音色柔らに、 大理石の苦悩に湯気は濃く、温るく、 鈍きどよみと外光のなまめく靄に 疲れゆく赤き都会のらうたげさ、太皷ぞ鳴れる。 四十一年八月

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

浴室の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

浴室に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる