弾く人のゐない夜
本文の表示
弾く人はゐない。
室は冷かに、澄んでゐる。動かぬ。
動くものが欲しい。
ただひとつ、動くものがゐる。あそこに…
ピアノの胸のあたりで、夜は頭をふつてゐるメトロノオム、
おまへの微韻だけが、そつと夜をゆさぶる。
睡つてゐる透明な霊衣、
百虫譜、
白体の蛾、
わたしは愬へるやうに、眠りからたちあがる。
なにものかの声が囁く。
「――なにせ、秋だ、聖壇の大蝋燭のやうに、ちらちら、感情の膜が耀ひながら微動する」と
花が崩れ、水晶の時計に肖た秋が
かうべの後ろ側で澄んでゐる。
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
弾く人のゐない夜の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
弾く人のゐない夜に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。
まだ解釈・感想はありません。
ログインすると解釈・感想を書けます。