みづうみ
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ほととぎす啼や湖水のささ濁り 丈艸
私は湖をながめてゐた
湖からあげる微風に靠れて 湖鳥が一羽
岸へと波を手繰りよせてゐるのを ながめてゐた
澄んだ湖の表情がさつと曇つた
湖のうへ おどけた驟雨がたたずまひをしてゐる
そのなかで どこかで 湖鳥が啼いた
私はいく夜さも睡れずにゐた
書きつぶし書きつぶしした紙きれは
微風の媒介で ひとつひとつ湖にたべさせていつた
湖 いな
貪婪な天の食指を追ひたてて
そして結句 手にのこつたものはなんにもない
白けた肉体の一部
それから うすく疲れた回教経典の一帙
刻刻に暁がふくらんでくる
湖どりが啼き
窓の外に湖がある
窓のうちに卓子がある
卓子のめぐり 白い思考の紙くづが堆く死んでゐる
ひと夜さの空しいにんげんの足掻きが のたうつてそこに死んでゐる!
この夥しい思考の屍を葬らう
窓を展いて 澄んだ湖のなかへと
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