Sine qua non

高祖保

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

 そなたの睡眠は、夜つぴて白く窓を埋める  片脚あげた 噴き上げの鶴よ。  わたしは読み飽いた「聖ヨハネ祭の夜」の頁をたたみこんで、暗い一閑張の下に、さて閉ぢようとして気づいた。  その夜、なにせ、季節は冬から孟春に、とび超えようといふのだ。(くらい天の一方で、間遠に神々の跫音がゆききする――)  わたしの中のわたしが、しばし恍惚とじぶんを置きわすれて、往つてしまふ。まづ、それをとり戻さなければならん。  窺きガラスのなか、東方が白む頃あひといふに、欹てる耳のうへで逸はやく、  ―― Chio, chio, chio, chio-chinks      chio, chio, chio, chio-chinks …  暁は迅い。窓はまだ睡りたりないのだ。  わたしもまた睡りたりん。  歌ごゑは、蝋燭ほどの月あかりの下びに。灌木のしげみのあちら側に。  どこか「夜啼鶯」とでもいひたいが、――湖どりと覚しいそのこゑは囁きつゞける。張りのある、わかい調子で。 (ひょいとヒマラヤ杉を、湖かぜが煽つてとほる。ひそひそ噺のかたちで。…)  嚔 ひとつ  ふいに、  わたしの前にゐた暁ちかい夜が、ぐつたり息絶える。  なんといふ いい夜!  わたしの中のわたしが呟く  ―― Sine qua non と。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

Sine qua nonの談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

Sine qua nonに寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる