秋だから

三好達治

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秋だから 彼方の窓に鎧扉が下り 秋だから 並木もやがて裸になる 秋だから 秋だから 噴水の聲が高くなり 秋だから 葡萄は熟れ 梨は熟れたが 何かしらおれは愚かなもの忘れ…… 鋪石に 街角に 辻の廣場に 斑々と何かまぶしい白金光 秋だから雲はいそいで都の空を飛んでゆく 飛んでゆくのは雲ばかりか 落葉ばかりか 落葉まじりによろけて墜ちる蝶の羽 沈默! 何かしらこの靜かな世界に 耳をゆるがす野兎か ――いや 秋だから 秋だから 何かしらおれの愚かなもの忘れ……

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