愛陶の民

室生犀星

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古い陶器をながめてゐると 古い樹の肌とどこか似てゐるやうに考へる ふしぎに陶器は古いほど 木の根のむくれ立つたところが似てゐる それゆゑ木の根にころがしておくといい わたしは支那人が高麗青磁などの古い破片を 服の前ボタンにつかつたり 時計のくさりにつないだりしてゐるのをみると ほんとに陶器を愛する民をみるやうな氣がする 實際古いものほど新らしい 形がなくともいい 古陶の土の味はひさへわかれば 私にはもう何もいらない こころみに一つの古い壺を 目の前にすゑてみてゐると 空の色までわかつてくる 調和の靜かさその激しい關係のいみじいちからのこもつてゐるには いつもわたしを驚かせる 手にとる その圓みを超えて柔らかさがくる 異性の肌のまるみさへ沁みでる

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