蟻
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蟻の穴がつづいてゐる
うす暗い地下鉄道のやうに
地のそこ深く闇が張りつめられてゐる
緑色の巷や町や辻辻の
あかるい明りを点したところにも
くらい穴がつづいてゐる。
都会の固たい甃石の下にも
大食堂の外廓の
白いなめしの上にも――
蟻は寂しい穴の中にも
緑色の王宮や王女や侍女などの
星のやうにならんだ宮殿へ
夏の日の明るいささげものを搬んでゐる
人家のあるところから
人人の目にも寂しい姿をさらしながら
よいかをりをした桃色の車をつらね
白い光つた土の上を走つてゐる
火のやうに急いでゐる。
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