鮎のかげ

室生犀星

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脊なかにほくろのある鮎が 日のさす靜かな瀬のうちに泳ぎ澄んでゐる 幾列にもなつて 優しいからだを光らしてゐる その影は白い砂地に かげ繪のやうに 大きくなつたり小さくなつたりして 時には暉けたりする 水のかげまで玉をつづつて 底砂へ落ちてゆく ちひさい物音にさへ 花のやうに驚いては散つて またあつまる鮎 すらりと群をぬいた大きな鮎が ときどき群を統べてゐるのか すこし瀬がしらへ出たり ほこらしく高く泳いでは水面へ ぱちりとはねくり返る しんとした波紋がする あとは土手の上の若葉の匂ひがするばかり

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