蠅
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きりきりと羽根を震はせると
蠅は美しい虹いろにかがやいた
そして死んだまねをした
動かない
ぢつとしてゐる
死んだのかも知れない
仰向けになつたままからだが光つてゐる
蠅はすてられた
地べたのうへに
そこでは蟻の活動がはじまつてゐた
地上といはず
地下といはず
たくさんの蟻がうづをまいてゐた
蠅はなかなか動かない
死んでしまつたのだらうと誰でも考へる
あかるい夏の光が照つてゐる
蠅のからだにもどんどん光がそそがれ
あたたまりが旺んにつたはつてゐる
けれども動かない
蟻は木や草や家や
あらゆるものを取りまいてゐる
そして上れるものには皆のぼり
あるけるところを皆歩いてゐる
けれどもまだ蠅をしらない
すてられた蠅はまだ死んでゐる
しかし間もなく動くだらう
ふしぎに默つて
そして立つてゆくにちがひなからう
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