室生犀星

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古い妻は干鰈を日なたへ出して その鹽かげんをひとりでほめてゐる 日はあたたかくさしてゐる その影はすぐ足袋ともつれて ひとむらの篠竹の影と一しよに障子に映つてくる 啼くものは冬の蠅だけである 古い妻はさて おなかのこどものために 小さい襦袢やおしめを縫ふのである 日なたへ出て さうして一日をくらすのである

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