帰り花を見る

室生犀星

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むらさきの枝に白い斑点がある。 よくみると陶器に描いてあるやうな 支那風な何かの白い花である。 花の肌はのんびりとしてゐなくて ちぢれてうすい黄みを雑ぜてゐる 匂ひはあるかないか 近づいてもどうもかぎあてられない。 白高麗から削り取つたやうにも見える。 幽遠な小春日のしごとで なにか思ひ出してふいに咲いてみたが 寒くてようは開かれずに 余りたのしいことがない そのためちぢれて悲しげに見える。 ぽつぽつのある枝に うてなも短かく花が帰り咲きをしてゐる。 永い間枝に着いてゐて 花はちることを忘れてゐるまに くされてしまつてゐた。 小春日も終りであらう 帰り花なぞといふゆめばかりもない霜の日になつた。

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