(『抒情小曲集』収録・同題第1篇)

室生犀星

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街かどにかかりしとき 坂の上にらんらんと日は落ちつつあり 円形のリズムはさかんなる廻転にうちつれ 樹は炎となる つねにつねにカンヷスを破り つねにつねに悪酒に浸れるわが友は わが熱したる身をかき抱き ともに夕陽のリズムに聴きとらんとはせり しんに夕の麺麭をもとめんに もはや絶えてよしなければ ただ総身はガラスのごとく透きとほり らんらんとして落ちむとする日のなかに 喜びいさみつつ踊る わが友よ ただ聞け上野寛永寺の鐘のひびきも いんいんたる炎なり 立ちて為すすべしなければ ただ踊りつつ涙ぐむ炎なり おろかなる再生を思慕することはなく 君はブラツシユをもて踊れ われまづしき詩篇に火を放ち 踊り狂ひて死にゆかむ さらにみよ 坂の上に転ろびつつ日はしづむ そのごとく踊りつつ転ろびつつ 坂を上らむとするにあらずや

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