美しい蠅のうた
本文の表示
私の室から女の室がみえた
女はいま朝の化粧をしてゐる
大きな鏡にむかつて樂しさうにひいやりと
冷たい水おしろいを襟足にひいてゐる
夏のあさで
女の脱いだ肌がぽたりと重さうに
やや青みをおびて展げられてゐる
じみなこつくりした艶はあるが
決して光るほどでもない
重みが美しい
盛られて動いて
やはり靜まつてゐる
夏の朝はさはやかで
もちろんよく晴れてゐる
家のなかには誰もゐない
たださういふ女の化粧がながい間つづく
緑の木が一杯に
女の室のまはりにあるため
なほハツキリ見える
どれだけ時間が經つたかしらない
しかし女の化粧はいつまでもつづく
蜘蛛の糸のやうにこまかく
眉毛ひとつうごかない
ぢつとしてゐる
その肌に蠅が一疋とまつてゐる
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
美しい蠅のうたの談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
美しい蠅のうたに寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。
まだ批評・講評はありません。
ログインすると批評・講評を書けます。