美しい蠅のうた

室生犀星

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

私の室から女の室がみえた 女はいま朝の化粧をしてゐる 大きな鏡にむかつて樂しさうにひいやりと 冷たい水おしろいを襟足にひいてゐる 夏のあさで 女の脱いだ肌がぽたりと重さうに やや青みをおびて展げられてゐる じみなこつくりした艶はあるが 決して光るほどでもない 重みが美しい 盛られて動いて やはり靜まつてゐる 夏の朝はさはやかで もちろんよく晴れてゐる 家のなかには誰もゐない たださういふ女の化粧がながい間つづく 緑の木が一杯に 女の室のまはりにあるため なほハツキリ見える どれだけ時間が經つたかしらない しかし女の化粧はいつまでもつづく 蜘蛛の糸のやうにこまかく 眉毛ひとつうごかない ぢつとしてゐる その肌に蠅が一疋とまつてゐる

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。

まだ解釈・感想はありません。

美しい蠅のうたの談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

美しい蠅のうたに寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる