情炎

佐藤惣之助

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朝風よ、霧のある庭よ あたらしい葉をむらがらせた樅の下に 今日もわたしは生木の椅子を置いて あの木の間から孔雀色の衣裳を引いて しづかにあらはれた昨日の夕暮の あでやかなりし人影を待つてゐる 鮮かなヂキタリスの花の塔の影や あたりにちつてゐるムスカリの白い午前の色に ほのかにのりくる遠い朝景色を もう一つの空しい椅子の上いつぱいに眺めて 木の間からあらはれる虹色の頬の人を 朝風が艶やかに照り出してくれるまで。

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