南かぜ

佐藤惣之助

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この曇り日に、いちめんの晝顏が 色のうすい風の盃をゆすり、ゆすり あちこちと咲きまはつてゐるところ! はるかに川邊のかたより、ゆるりかんと 帆は雲にふれて消えもせず、ふくらみもせず 陽氣な、それでゐてどことなくむなしい熱氣が ぽつぽと空中にもえるとも感じらるる 田舍娘よ、ここへ來て寢ころぶといい うすい孔雀いろに曇つた午まへは うつくしい怠惰な色もわるくはない 眉をさつぱり落したやうな この晝顏の淡々たる砂原では。

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