幽棲

佐藤惣之助

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風致に乏しい畑のほとりの さらさらなびける眞夏の柳は 晴れ曇り、色もあかるくこつくりと垂れてゐる その中に午後の雀はかくれ、鳴きしきり 又はたはたととびさりて、風の音さやかに聞え ひようひようと海近き空氣の鳴るばかり 雀よ、色も乏しく、もの寂びて この七月の滿月近き晝すぎの白い月に ちしやちしやと何を騷いでゐる ゆるる柳の枝と葉の中には われわれの目につかぬ無爲の幽居が ちらちらと日光を通して空中にながれてゐるぞ。

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